背番号10

平成6年は主将ということで,1年間10番をつけることに。ユニフォーム的には19番の1はそのままに,9を0に貼り替えるという,合理的な方法により変更された。

10番と聞いてすぐに思い出すのは張本勲と駒田徳広(巨人−横浜)である。どうしても巨人がらみになってしまうところはご勘弁。

不滅のV9時代,王貞治と長嶋茂雄(巨人)が不動の三・四番だった。しかし長嶋が引退すると,長く日本のプロ野球を支えてきたONは自然消滅となり王一人ぼっちに。そして巨人は球団史上初の最下位。そこで次の年日本ハムからトレードで張本が巨人に入団する。この時すでに選手としてのピークを過ぎ,果たして活躍できるのかといぶかったものだったが,巨人での数年間はOH砲と呼ばれ連続優勝に貢献した。張本にしても,日本球界唯一の三千本安打打者で安打数歴代1位,当然永久欠番になってもおかしくない存在なのだが・・・。

『満塁男』の駒田がそれまでの50番から10番に変更になったとき,広い背中には似合わないなあ,と思ったものである。実は以前,飛行機でこの駒田と一緒になったことがある。すでに現役を退き,札幌ドームでの野球中継解説のため千歳に向かう全日空機でのことだった。三人掛けのシート。私の席が通路側,一人置いて窓側一番奥が駒田だった。私が先に座っていると,「すみませんが,席変わってもらえませんか。なんせこの体なので」と言ってきた。彼とは身長差30センチある私は快く窓側に席を移した。そして「駒田さんですよね」との問いに彼は恥ずかしそうに頷いていた。名球会(注)入りしたスター選手でも引退すると,エコノミーでひとり縮こまって座わるんだ,と思うと少しかわいそうになった。

言わずと知れたキャプテンナンバーの10番ではあるが,高校野球の影響か,何となく準レギュラーっぽく思えるところもある。ただ阪神と中日では永久欠番となっている栄光の背番号だ。現役では谷佳知(オリックス),阿部慎之助(巨人),佐伯貴弘(横浜)あたりがオールスター級。

注)名球会:昭和生まれのOB選手で,日米通算で投手は200勝又は250セーブ以上,打者は2000本安打以上でその資格が与えられ,名選手の証とされている。

2006.10.19UP

もどる